親を思う気持ちが報われず

親を思う気持ちが報われず

 中島さんは3人姉妹の長女ですが、3年前に父親が亡くなった時、病気がちな母親をひとりにするのが心配だったので、実家に戻って同居することになりました。幸い仕事場も実家から通えない距離ではなかったため、今まで通り自分の仕事をしながら、母親の介護と仕事を両立していましたが、その母親が介護の甲斐なく亡くなった後、3人の姉妹間で相続問題がおきてしまいました。

介護の手間とかかった費用の分財産を多めにもらいたい

 父親が亡くなってから3年後、あとを追うように母親も亡くなってしまいました。母親からの遺言書はなく、母親が残してくれた財産は、自宅の土地と建物、評価額2,500万円の不動産と預貯金が3,000万円の合計5,500万円でした。
 母親の葬儀も無事に終わり、中島さんと2人の妹で母親の遺したした遺産の分割について話し合うことにしました。中島さんとしては、母親を介護した際に、自身のお金も母親の介護費用に使ったりしたので、母親への寄与分も妹たちが認めてくれるだろうと思い、2,500万円の価値がある自宅の土地と建物を相続するつもりでいました。次女と三女には預貯金の3,000万円を半分にして、それぞれに1,500万円ずつ渡せば遺産分割は円満に収まると考えていたのです。

介護の寄与分は認められず不動産は売却

 しかし、次女と三女は相続財産をすべてを平等に3等分(法定相続分通り)にするべきだと主張してきました。彼女たちの言い分としては、母親と実家に家賃なしで同居していたので、介護の労力の分の恩恵をすでに受けているからというのが言い分です。加えて中島さんには、母親の介護に使った証明となる費用負担の領収書等もほとんど有りませんでした。
 結局、中島さんの寄与分は妹たちに認めてもらえず、また中島さんに代償分割できるような預貯金もなかったため、母親と過ごした思い出の自宅を売却して現金化し、預貯金と合わせて3姉妹で平等に分け合うことになりました。
 中島さんは一生懸命、母親の介護に尽くしたのですが、お金の事のことも含めて自分の苦労を姉妹に理解してもらえなかったことに、怒りを通り越して悲しくなってしまいました。その後、中島さんと2人の妹たちの関係はぎくしゃくし、疎遠な関係になってしまいました。

遺言で相続問題が避けられたかも

 今回のケースでは、母親の遺言や付言事項で、中島さんへの感謝や、中島さんへの寄与分を含めた分割案を遺しておけば、もう少し遺産分割の話も結果が変わったかも知れません。被相続人が亡くなってからでは遅い相続のお話。生前にしっかりと準備をして、残される遺族が円満に相続できる話になって欲しいものです。何かご不明な点や心配事があれば、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にご相談ください。

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