特別の貢献をした人に認められる「寄与分」について

特別の貢献をした人に認められる「寄与分」について

残念ながら「寄与分」が認められるのは法定相続人だけ

 相続は相続人間の金銭勘定だけの問題でなく、感情の問題でもあります。被相続人の生前に、その財産の維持や増加に特別の貢献をした人には寄与分が認められています。しかし法定相続人でなければ寄与分は認められず、どれだけの金額(寄与分)が認められるかも、相続人間の合意でしか決まりません。

次男の妻の介護の苦労は報われるのか

 寄与分の例としてよくある話ですが、大病患った父が7年間の闘病の末に亡くなりました。長男はすでに家を出て独立していたため、次男夫婦は実家で両親と同居して父の介護をしていました。
 特に次男の妻は義父の介護に尽くし、義父の病状が悪くなってからは、仕事を辞めてまで介護に専念しました。次男も実家に手すりをつけてバリアフリーにしたり、病院までのタクシー代を支払ったり、金銭的にも多大な負担をしてきました。
 しかしながら、父が亡くなったあと、実家を飛び出して東京に住んでいた長男夫婦が現れ、「お父さんの遺産は法定相続分通りに分割しよう。」と言い出したのだから、次男夫婦にしてはたまったもんじゃありません。
 客観的に見て、次男の妻はその貢献にふさわしいだけの遺産を受け取って当然とも思いますか、どれだけ献身的に面倒を見たとしても、相続の観点から言えば次男の妻はあくまで第三者であって法定相続人ではないため、次男の妻には父の遺産は1円も相続できません。残念ながらそれが現実なのです。

話し合いがつかない場合は家庭裁判所で寄与分を決めることになる

 民法では、亡くなった人の生前の介護や事業を手伝うなど、亡くなった人の財産を増やしたり維持することに特別な貢献をした相続人には、貢献度合いに応じて多めの財産をもらうことが認められており、これを「寄与分」といいます。
 寄与分が認められれば、その人はまず相続財産からその寄与分を確保でき、その残りを相続人が分ける手順で遺産が分割されることになります。
 ところが厄介なのは、上記のように子供の配偶者の嫁や婿が親の介護をしているケースです。先ほども申し上げた通り、寄与分が認められるのは法定相続人だけなのです。子供の配偶者がいくら献身的に介護しても、法律上は相続人ではないために寄与分も認められず財産を相続することができません。
 寄与分の金額や存在は、まず相続人間の遺産分割協議によって決定しますが、相続人の間で話し合いがつかない場合は、特別の寄与をした人が家庭裁判所に審判を求めることができます。
 家庭裁判所は、寄与の時期や方法、寄与の程度や遺産の額などを考慮して、寄与分を決めますが、寄与分の金額については、相続開始の財産の価格から、遺言により遺贈された価格を差し引いた額を超えることができません。
 また家庭裁判所から寄与分として認められるためには、通常の家族間の相互扶助の域を超えた特別な貢献でなければいけません。単に一緒に生活していただければ認められません。それでは、こうしたトラブルを避けるにはどうすれば良いのでしょうか。こうした場合でも遺言に記載することで、相続人の配偶者など介護に尽くした人に、「遺贈」として、特別に財産を残すことが可能です。
 このように、寄与分は親の面倒を見る事は子供であれば当たり前と言う考えがあり、相続発生後にいくら親の面倒を見ていたから財産を多めにほしいと主張しても認められないことが多いです。そのため遺言を作成して、お世話になった人への気配りを残してあげることが大切です。
 また寄与分が認められるケースは、以下のような、具体的な財産提供の有無が関係してきます。

・親の年金だけでは生活ができないため、子が自分の財布から生活費を援助してあげていたような場合
・親が事業を行っていたが給料も受け取らずに無報酬で親の仕事を手伝っていた場合
・介護のために親の家にリフォームを行いバリアフリーに回収した場合

 このように寄与分が法的に認められるためには、実際に子が何らかの金銭面の負担を負っていたことが必要となります。また、金銭的な負担があった場合には、しっかりと領収書など支出が証明できるものは残しておきましょう。

 最後に先ほど記した家庭裁判所への審判ですが、もし自身がこのような相続問題に巻き込まれた場合、貴方は本当に家庭裁判所へ審判を申し出をされますか。おそらく家庭裁判所へ審判を申し出て、何らかの結果が出たとしても、その後の相続人間の関係はかなり悪化すると思われます。そのような結果を想像して、泣き寝入りされている方が、かなりのケースで埋もれていると思われます。

 相続問題は遺言を書くことで、トラブルを解消できることが多々あります。とは言いながら、自らの亡き後のことは心配ないと、そのままにされるケースが多いと思います。残された遺族の笑顔相続のため、遺言を残すことをお勧めいたします。何か分からないことや心配事があれば、笑顔相続の道先案内人、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にご相談ください。

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