相続で揉めないために生前に「財産の全容」を把握するポイント

相続で揉めないために生前に「財産の全容」を把握するポイント

マネーポストWEB  5/27(月)15:00配信

 5月12日、95才で亡くなった名女優・京マチ子さんが出演した大映配給の映画『女系家族』(1963年、原作・山崎豊子)。大阪・船場の名門木綿問屋の社長の死後、身重の愛人と3人の娘の間で壮絶な遺産相続争いが起きるというストーリーで、京さんは権謀術数の限りを尽くす、欲の深い社長長女役を好演した。

 「相続の骨肉の争い」はしばしば小説やドラマのテーマになってきたが、現実と違うのは、「資産が多いから“争続”になるわけではない」ということ。実際には、1,000万~2,000万円程度の遺産の方が争いに発展しやすい。

 そもそも、なぜ揉めるのか。前出の『女系家族』で描かれたように、親(社長)が亡くなるまで相続財産の全貌と相続人の情報が秘密にされていたから、死後に「知らなかった!」と遺族が揉めるケースが多いのだ。相続コンサルタントの曽根恵子さんが話す。

 「一にも二にも、まずやらなければいけないのは、財産の全容を把握すること。相続で揉める最大の要因は、家族が生前に財産の有無をしっかり把握、情報共有できていないことです」

 三菱UFJ信託銀行が昨年行った調査では、相続を検討している人の半数以上が、「(子供に対して)相続財産を全く明らかにしていない」、6割以上が「子供と相続の話をしたことがない」と回答した。

 「財産の全容を把握するのは本人でさえ大変で、死後に家族が行うのはさらに大変な作業になります。生前に対策を講じておくことが大切です」(曽根さん)

 自分には関係ない、まだ時間はあると思っていたら、いざ老親が亡くなった時に大変な目に遭ったり、親族と争いに発展する可能性もある。

永久に預金がわからなくなる

「老親が生きているうちにできる相続対策」として最初にやるべきは、財産がどれだけあるかを把握し、その総額を知ること。そのためには「書き込み式シート」を作成して準備しておきたい。まずは、資産の大部分を占める「不動産」だ。曽根さんが話す。

 「自宅のほか、賃貸不動産や別荘、田畑などすべての土地、建物が対象です。共有名義のものも含まれます。住宅ローンなどの負債も忘れずに記載して、全体の財産から差し引くようにしてください」

 不動産の「評価額」欄には、毎年5月頃に届く「固定資産税納税通知書」記載の金額を記入する。自治体窓口で「固定資産税評価証明書」を取得することでも確認できる。相続・終活コンサルタントの明石久美さんが話す。

 「自宅がすでに他界した祖父や祖母と、親との共有名義だった場合は注意が必要です。親の死後、相続時に名義を変更しようと思ったら、祖父の相続人をすべて探し出す必要があります。資産を洗い出す際、共有名義のものを見つけたら、できるだけ親の生前に対処してもらうと、相続時の手間は格段に減ります」

 次に「預貯金」だ。これも、メガバンクや地銀、ゆうちょ銀行やネット銀行など、どこにいくら預けているかをすべて書き出す。ただ、実際には骨の折れる作業だ。半年前に父親を亡くした山崎さん(52才・仮名)の話。

 「用心深かった父は、ペイオフ制度の上限額1,000万円ずつを、各金融機関に分散していました。通帳や印鑑も家のあちこちに分散して保管し、その組み合わせもわからない。父の死後、家捜ししてやっと2,000万円分の預金は見つけましたが、通帳や取引明細も届かないネット銀行の口座は捜しようがありません。未だに受け取っていない預金があるはずなんです」

 二度と聞き出せない口座の預金は消失したも同然。そうした「休眠口座」は毎年約700億円ずつ増え、総額6,000億円を超えるという。

 「安全で家族がわかりやすい場所に通帳や印鑑を保管し、ネット銀行やオンラインバンキングのIDやパスワードは紙に書き残してもらいましょう。また、口座がいくつもある場合は、名義人が亡くなって口座が凍結されるのに備えて1つにはまとめず、2~3口座程度にまとめておきましょう。定期預金口座は、生前に普通預金口座に戻しておくのが賢明です」(明石さん)

 そのほか、株式や投資信託などの「金融商品」や「生命保険」、自動車などの「その他の資産」も同様に書き出す。

 「生命保険は、親の死後に『保険証券』が見当たらないケースも多い。保険金は、自ら申請しない限り支払われず、受け取りの時効は原則3年と決められています。保険証券が見つからなければその存在にも気づけないため、最悪の場合、保険金が永久にもらえないということもあるのです。

 保険会社から定期的に届く契約状況の通知や生命保険料控除証明書など、手がかりになりそうな書類を捜すのも有効ですが、生前に保険の存在を知っておくのが何よりの最善策です」(明石さん)

 洗い出した各資産はすべて合計し、「遺産総額」として算出しておこう。そうすれば、基礎控除額や相続税の計算が容易になる。

※女性セブン2019年6月6日号

 相続を知るために大変良い記事です。自らの財産を知り、相続人に分かるように準備しておくこと、そして財産の分け方を遺言に残しておけば、残された遺族も安心でしょう。ご不明な点があれば、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190527-00000002-moneypost-bus_all&p=1


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