「死後離婚(姻族関係終了届)」について

「死後離婚(姻族関係終了届)」について

 最近ニュースで、「 姻族関係終了届 (死後離婚)」を提出する妻(と限定されてるような書き方をされていたのが男として寂しいのですが)が増えているとの事で、「 姻族関係終了届 (死後離婚)」のメリット・デメリットに記してみます。

死後離婚(姻族関係終了届)とは

 この死後離婚という言葉、配偶者が亡くなった後に離婚が出来ると解釈されがちですが、 法律的な「離婚」は、夫や妻が生きている間にしかできません。
配偶者のどちらか一方が死亡すると、当然に婚姻関係は終了する(民法728条)ので、「死亡届」を提出した後に「離婚届」を出すことはできないのです。

民法 第728条
1.姻族関係は、離婚によって終了する。
2.夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC728%E6%9D%A1

 結婚をすると、夫や妻の両親、兄弟姉妹などとの間で「姻族関係」ができて、姻族関係は配偶者の死後にも継続するのですが、亡くなった配偶者との関係は決して悪くなかったのだが、姻族と折り合いが悪い場合などには、配偶者の死後にまで関係を継続したくないという考え方も理解できる部分があります。
 そのような考え方から、これを機会に、「姻族関係終了届」という書類を役所に提出して、義理の両親や義理の兄弟姉妹との縁を切ろうと考える人が増えているというのです。

  「法務省の戸籍統計(平成27年度報)によると、“姻族関係終了届”を提出する人は、ここ5年間で約1.5倍に増加しています。また、姻族関係終了届を提出する際、姻族による了承は不要なので、提出する人の一方的な意思によって姻族関係を終わらせることが可能で、姻族に通知する必要もありません。

死後離婚(姻族関係終了届)のメリットとデメリット

それでは、改めて死後離婚を選択した配偶者のご意見をまとめてみました。

  • 嫌いだった配偶者の親族とは関わりたくない(まだ理解できる)
  • 義両親の介護、扶養をしたくない(先に亡くなってすまない)
  • 配偶者と同じ墓に入るのは絶対にいや(今まで我慢させてすまない)
  • 配偶者の生前から舅・姑との仲が最悪だった(俺も間に挟まれて大変だった)
  • とにかく、しがらみから自由になりたい(俺も生前そう思っていたんだよ)
  • 離婚は出来なかったけど、せめて死後には関係を絶ちたい(。。。。。)

まとめながら、何とも言えない悲しみに包まれていますが。

 上記の通りメリットは、婚姻関係を結んでいた時にあった様々なしがらみから、すっきり解放されるのが一番大きなメリットだと思います。併せて、 夫が亡くなり妻が“姻族関係終了届”を提出した場合、戸籍上にその事実が記載されるだけで除籍されるわけではないので、夫との関係は死別ですから遺産や遺族年金は変わらず受け取れます。面倒なことからは解放されて、実の部分は担保されることになります。

とはいえ、やはり人によってはデメリットもあると思います。

  • 一度受理をされると、関係を取り戻したいと思っても二度と取り消せません(心情的に相手方も。。。ですよね)
  • 墓参りや法事などの仏事の連絡はおそらく来ないでしょう(言葉は悪いですが敷居をまたぐ事すらはばかられると思います)
  • 配偶者の実家に住んでいたり近所に住んでいたら、引越しせざるを得ないでしょう(きっとご近所さんの目も気になると思います)
  • いざとなっても、二度と配偶者の親を頼る事は出来ないでしょう

 他には、配偶者の親と自分の子供 (祖父母と孫) との関係が難しくなる可能性もあります。自分自身は姻族の関係を解消しても、自分の子供と配偶者の両親は血族としての関係は継続するので、もしかすると上手くいっていた関係も壊す可能性もあるわけです。その関係が壊れることにより、親子の関係が悪くなる可能性もあります。

 姻族との関係を解消することにより、メリットもあればデメリットもあります。結婚より離婚はエネルギーを使うと言いますが、姻族の関係の解消も慎重に検討して覚悟を決めるようにしましょう。

 何かご不明な点やご意見がございましたら、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へ、お気軽にお問合せください。

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