「老親が生きているうちにできる相続対策」3つのステップ

「老親が生きているうちにできる相続対策」3つのステップ

マネーポストWEB  5/30(木)15:00配信

 いよいよ今年7月から、本格的に「相続」のルールが変わる。実に40年ぶりとなる大きな改正だが、さらに複雑になる相続にどう備えればいいか。相続財産の全貌と相続人の情報が秘密にされていると、死後に「知らなかった!」と遺族が揉めるケースは少なくない。相続コンサルタントの曽根恵子さんが話す。

一にも二にも、まずやらなければいけないのは、財産の全容を把握すること。相続で揉める最大の要因は、家族が生前に財産の有無をしっかり把握、情報共有できていないことです」

 自分には関係ない、まだ時間はあると思っていたら、いざ老親が亡くなった時に大変な目に遭ったり、親族と争いに発展する可能性もある。「老親が生きているうちにできる相続対策」には3つの手順がある。

【STEP1】資産を隅々まで把握する

 最初にやるべきは、財産がどれだけあるかを把握し、その総額を知ることだ。

 まずは、資産の大部分を占める「不動産」から。その際、共有名義のものを見つけたら、できるだけ親の生前に対処してもらうと、相続時の手間は格段に減るだろう。

 次に「預貯金」だ。これも、メガバンクや地銀、ゆうちょ銀行やネット銀行など、どこにいくら預けているかをすべて書き出す。安全で家族がわかりやすい場所に通帳や印鑑を保管し、ネット銀行やオンラインバンキングのIDやパスワードは紙に書き残してもらうようにすると安心だ。

 そのほか、株式や投資信託などの「金融商品」や「生命保険」、自動車などの「その他の資産」も同様に洗い出す。それら各資産をすべて合計し、「遺産総額」として算出しておこう。

【STEP2】相続人を確定して、基礎控除額を計算する

 財産の全容が把握できたら、実際にいくら相続税を払うことになるのかを考えていく。まずは、相続人の特定だ。家系図を作成するとわかりやすい。

 遺言書で指定される場合を除いて、「法定相続人」は範囲と優先順位がある。まず、配偶者が優先され、第1順位(子や孫など)、第2順位(父や母など)、第3順位(兄弟姉妹、甥・姪など)と続く。上位の順位者がいる場合は下位の順位者は相続権を失う。

 たとえば、両親と子供2人の家庭で、父親が先に他界している場合、母親も亡くなった時の法定相続人は子供2人となり、法定相続分は2分の1で遺産を半分ずつ分けることになる。

 相続人が確定したら、次の計算式で、相続税の「基礎控除額(財産全体から無条件に差し引くことができる金額)」を算出する。

 基礎控除額は《3,000万円+600万円×相続人の数》。ここでは、法定相続人は子供2人なので、基礎控除額は4,200万円だ。

【STEP3】相続税を計算する

 続いて、相続税額を計算する。先に計算した遺産総額から基礎控除額を引いて、課税対象となる「遺産総額」を算出する。

 たとえば、遺産総額5,000万円から4,200万円の基礎控除額を差し引くと800万円。「法定相続分(相続できる割合)」は、子供2人の場合、遺産総額全体の半分ずつのため1人当たり400万円となる。400万円に対する相続税率は10%なので、1人当たりの相続税は40万円、2人で合計80万円の計算だ。

 また、遺産総額が4,000万円だとすると、基礎控除以下のため相続税はゼロになる。前出・曽根さんが話す。

 「相続財産の確認や相続税の算出ができたら、これを機に将来、どのように財産を受け継ぐかなどを考えてみましょう。自分だけでなく、家族に財産の内容や意志を伝えておくようにすれば、何もない状態よりずっとスムーズにいくはずです。その上で、財産の分割内容や気持ちを遺言書で残しておけば、家族で揉めることもなくなります」

※女性セブン2019年6月6日号

 財産を知って、相続人を確定したら、基礎控除額を計算する。ご存知の方も多いと思いますが、相続税の課税対象となるケースは、まだ相続が100件あれば、7・8件程度の割合です。これを多いと思うか少ないと思うかはそれぞれですが、ここで相続税がかからないから安心でなく、その財産をどのように分けるかを、遺言で残しておくのが家族で揉めない方法だと思います。

ご不明な点があれば、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。

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