相続分取戻権について

相続分取戻権について

 民法905条に、相続分の取戻権に関する規定があります。遺産分割の協議の際に、家族以外の第三者が介入すれば混乱が生じる可能性が高いのですが、この権利は、それを防ぐために役立ちます。今回は相続分取戻権が設定された理由や、その行使の方法などについて記します。

民法第905条
1.共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
2.前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC905%E6%9D%A1

相続分取戻権が設定された理由

 財産を相続する共同相続人のうちの一人が、遺産分割協議が整う前に、自身の相続分を相続人以外の第三者に譲渡するケースがあります。その結果、相続分を譲り受けた第三者は、遺産分割協議に参加できるようになります。本来は家族で行われるべき遺産分割協議に他人が介入することを望まない相続人も多いと思います。このようなケースを避けるため、相続分取戻権が設定されました。

 すなわち、共同相続人の1人は、相続分を譲り受けた第三者に対して、譲渡の対象となった相続分の時価と譲渡に要した費用を支払うことにより、譲渡された相続分を取戻すことができ、相続分の取戻しが行われれば、譲渡を受けた第三者は遺産分割協議への参加権を失い、遺産分割協議への他人の介入は防止できます。

相続分取戻権の行使の方法

 相続分取戻権を行使するには、譲渡された相続分の時価と譲渡に用意した費用を現実に提供する必要があります。現実に提供するとは、相続人が、譲受人がその金額を受け取れる状態にして、その受取りを催促する状態のことを言います。

 なお、この相続分の取戻権を行使する場合、譲受人の承諾を得る必要はありません。相続分の時価と譲渡費用の現実の提供は必要ですが、それを行なえば、譲受人の意思に関わらず、相続分の取戻しは可能になります。

 ただし、この相続分の取戻権の行使は、相続分の譲渡があった時から1カ月以内に行わなくてはなりません。この期間を過ぎると、相続分の取戻しは不可能になります。遺産分割協議に対する他人の介入を防ぐためには、相続分の譲渡があった場合に迅速に対応しなくてはなりません。

 相続分取戻権の設定により、遺産分割協議をスムーズに行えるとは思いますが、やはり常日頃の家族間のコミュニケーションが大事になるかと思います。相続に関してご心配などあれば、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。

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