紀州のドン・ファン野崎さんの相続争い。約13億円の遺産の行方は?

紀州のドン・ファン野崎さんの相続争い。約13億円の遺産の行方は?

LINE@で気軽に相続相談、福岡市東区の香椎相続不動産事務所です。

平成30年5月、紀州のドン・ファンとも呼ばれた実業家である野崎さんは、自宅2階の寝室のソファで意識を失っているのを妻が見つけ、死亡が確認されました。行政解剖で、死因は急性覚醒剤中毒と判明しましたが、その後、覚醒剤中毒の原因が、殺人か事故か判明しないまま、現在に至っています。

残されていたドン・ファンの遺言

正しい遺言の書き方5つのポイント

ここにきて、野崎さんの遺言があったことが、報道でも明らかにされましたが、改めて、遺言の書き方(自筆証書遺言の書き方)の大きな5つのポイントを整理します。
このポイントを押さえつつ、野崎さんの遺言を見ると、皆さんも色々と考えさせられることがあるかも知れません。

自筆証書遺言の正しい書き方

  1. 法律で定められた要件を満たすこと
  2. 遺産の内容は、不動産であれば不動産登記簿、銀行の貯金等であれば銀行の口座名など、正確に記載すること
  3. 法定相続人の遺留分などにも配慮すること
  4. 付言事項を記しておきましょう
  5. 遺言執行者は必ず氏名すること

1.法律で定められた要件を満たすこと

自筆証書遺言の要件について、民法968条1項にこう記してあります。

民法968条1項

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC968%E6%9D%A1

まとめると、

  1. 全文を手書きすること
  2. 日付及び氏名を自署すること
  3. 印鑑を押す事

3つの要件は、難しい要件ではないですが、 すべての要件を満たす必要があり、一つでも要件を欠くと無効となります。

2.自筆証書遺言の内容は正確に書く こと

遺言は、本人(被相続人)の死後に開封されるので、本人が相続人へ直接補足説明などすることが出来ません。
相続人が遺言を読んで、一切の疑義が生じないよう、事細かく正確に記載する必要があります。
したがって、不動産を相続するのであれば登記簿謄本、預貯金であれば銀行名や口座番号など正確に記しておきましょう。

3.遺留分のことも忘れずに

法定相続人には、相続財産に対する最低限の取り分である、遺留分減殺請求権というものがあります。
たとえば、子どもが2人いる時に、片方だけに遺産を相続させるといった遺言を書いても、遺言としては有効ですが、もう片方の子どもは何も貰えないとなると不平等だという話になるでしょう。
被相続人からの遺言だとしても、当人たちには大きな不満が残って、後々にまで感情的な対立が生じます。

せっかく遺言を残すのであれば、誰もが円満な相続にしたいとが思うものではないでしょうか。
後々までトラブルにならないよう、遺留分にもしっかり気を配って書くことが相続対策には非常に重要です。

4.相続人に対する思いや配慮を示す、付言事項を記しておきましょう

遺言で書く内容といえば、やはり「遺産(相続財産)の配分」をイメージされることでしょう。
ただ、「遺産の配分」だけでなく、その遺言を記すに至った相続人への思いなどの付言事項も記しておくことにより、被相続人なき後のトラブルを防げる可能性もあります。

5.遺言執行者を指定しておきましょう

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)は、遺言の内容を適切に実現すべき職務を行う人です。
遺言執行者を定めておくことで、「誰がやる」「どのようにやる」といったことで、後で揉めることがなくなるメリットがあります。

野崎さんの遺言は、40年来の知人に預けられており、和歌山家庭裁判所の検認を終え、野﨑さんの遺言書が形式的な要件を備えていることが確認されて、田辺市は突如として遺贈を受ける立場となりました。

しかし、遺言は法的な要件は満たしていましたが、皆さんは遺留分や相続人への思いや配慮がなされていたと思われますか?

野崎さんの遺言が、新たな火種を産むことになった

突如として、野崎さんの遺言で遺贈を受ける立場となった田辺市は、「故野崎幸助氏による遺贈に関する報告書 」と呼ばれる12ページの報告書を作成し、野崎さんの意志を尊重し、遺産を受けとる方向で調整をはじめました。ちなみに申し出られた遺贈の額、約13億という金額は、田辺市の平成30年度の都市計画費とほぼ同額です。

紀州のドン・ファンの全財産が記録された田辺市の報告書【独占全文入手】

田辺市としては、大変ありがたい申し出だとは思いますが、そのことを知らなかった妻と野崎さんの兄弟は、とても驚かれたと思います。
遺言が無ければ、両親や子どもがいない野崎さん、法定相続分通りで遺産分割したとすると、3/4は妻、残りの1/4は野崎さんの兄弟で約13億円の遺産を分けられたはずなのです。

田辺市、妻、野崎さんの兄弟それぞれの思い

まだまだ、この先どうなるかは分かりませんが、妻には遺留分減殺請求権があるので、遺産の1/2を受け取る権利はあります。
しかし、田辺市の主張として、「野崎さんの意志を尊重して全額寄付をして頂きたい」との報道もあります。
また、併せて、野崎さんの兄弟は野崎さんの遺言の無効を主張するとの報道もあります。報道が真実であれば、まさに泥沼の相続争いです。

決して、他人事ではない13億円の相続争い

今回の野崎さんの13億円をめぐる相続争い、当事務所の経験上、1,300万円の遺産でも十分におきる可能性のある話です。
不審な死を遂げた野崎さんですが、遺言を残すときまでに出来る準備がもっとあったのかも知れません。

セミリタイアした大橋巨泉さんのスマートな相続物語

4・5億円の遺産があった大橋巨泉さんの相続がスムーズに進んだ理由

相続・事業承継について、お困りのことがありましたら、LINE@で気軽に相談、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へ、お気軽にご相談ください。


知らないと後悔する、後から知って後悔する
相続・事業承継に関する最新の事例・情報を定期配信中!
お友達登録で、
「誰もが知ってるあの人も?
読んで知って実感する。
身近な相続トラブル事例集」
無料プレゼント中!