おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)利用の注意点

長年連れ添った夫婦が自宅の前で微笑んでいるイメージ

おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)利用の注意点
― メリットだけでなく、落とし穴もしっかり確認を ―

長年連れ添った夫婦間で自宅を贈与する際に、最大2,000万円の贈与税が非課税になる「おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)」。とても魅力的な制度ですが、不動産取得コストや将来の売却時の税負担など、知っておくべき注意点もあります。福岡市東区・香椎を拠点とする香椎相続不動産事務所が、制度の仕組みから注意点まで丁寧に解説します。

この記事を読むと得られること(FAQ)

Q. おしどり贈与とはどのような制度ですか?
A. 婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用の土地・建物またはその購入資金を贈与する場合に、最大2,000万円(暦年贈与の基礎控除110万円と合わせて最大2,110万円)の贈与税が非課税になる制度です。相続時の贈与加算の扱いが一般の暦年贈与と異なる場合があるため、相続対策として活用する際は専門家への個別確認が必要です。
Q. おしどり贈与の主な注意点は何ですか?
A. 一生に一度しか使えないこと、不動産の名義変更に伴う登録免許税(贈与時2.0%・相続時0.4%)や不動産取得税がかかること、将来売却する際に譲渡所得税が高額になる可能性があること、などが主な注意点です。税負担の総額次第では使わない方が有利になる場合もあります。
Q. 「おしどり贈与」と「相続税の配偶者控除」は同じ制度ですか?
A. 別の制度です。おしどり贈与は生前の贈与に対する贈与税の控除(最大2,000万円+110万円)です。相続税の配偶者控除は、相続時に配偶者が取得した財産に対する相続税額が、1億6,000万円か法定相続分相当額のいずれか多い額まで軽減される制度です。目的・タイミング・金額がまったく異なります。

おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)とは

正式には「贈与税の配偶者控除」と呼ばれるこの制度は、長年連れ添ったご夫婦の間で住まいを贈与する際に、贈与税の負担を大きく軽減できる仕組みです。通称「おしどり贈与」の名の通り、仲むつまじいご夫婦に使いやすい制度として知られています。

  • 非課税枠:最大2,000万円(暦年贈与の基礎控除110万円と合わせて最大2,110万円)
  • 婚姻期間:入籍から贈与日まで20年以上であること
  • 対象財産:居住用の土地・建物、またはその購入資金
  • 居住要件:贈与を受けた人が翌年3月15日までにその住宅に住み、その後も引き続き居住する見込みであること
  • 申告期限:贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与税の申告書を提出すること

おしどり贈与と相続時の贈与加算の関係

通常の暦年贈与では、相続開始前の一定期間(2024年以降の贈与は段階的に7年まで延長)に行われた贈与が相続財産に加算されます。おしどり贈与で贈与した居住用財産については、この加算の扱いが一般の暦年贈与と異なる場合があります。ただし、相続対策としての効果は個別の状況によって変わりますので、活用を検討する際は税理士などの専門家へ確認することをお勧めします。

自宅の評価額が2,000万円以下の場合でも、購入資金として現金を贈与することができます。住宅を購入したばかりで残債がある場合や、これから住宅を購入する配偶者を支援したい場合にも活用できます。

おしどり贈与の注意点4つ

1
一生に一度しか使えない
同じ配偶者間では、この控除は一度しか適用できません。「また使おう」という選択肢はありません。使うタイミングと目的を慎重に検討することが大切です。
2
不動産の名義変更コストがかかる
不動産を贈与する場合、登記(名義変更)が必要です。贈与による登録免許税は固定資産税評価額の2.0%で、相続時の0.4%と比べて約5倍となります。さらに不動産取得税も原則として課されますが、住宅用不動産の軽減措置など個別の条件によって税額が異なります。贈与税がゼロになっても、これらのコストは必ず発生しますので、総コストの確認が不可欠です。
3
将来売却する際に高額な譲渡所得税がかかる可能性がある
贈与で不動産を取得した場合、売却時の取得費(購入価格)は元の所有者が購入した価格を引き継ぎます。地価が上昇している現在、長年前に安く購入した自宅を贈与で受け取り、後に売却すると売却益が大きくなり高額な譲渡所得税がかかるリスクがあります。ただし、「居住用財産の3,000万円特別控除」などの軽減措置が適用できる場合は影響が小さくなることもあります。売却を見据えた総合的な試算が必要です。
4
「特別受益」として相続トラブルの原因になることがある
贈与した財産は、相続時に「特別受益」とみなされ、他の相続人から不満が出る可能性があります。「生前に自宅をもらっているから、相続財産はその分少なくすべきだ」という主張が起きるケースがあります。対策として、遺言書を残し、分け方の意図を明確にしておくことが有効です。

「おしどり贈与」と「相続税の配偶者控除」の違い

混同しやすい2つの制度ですが、まったく別のものです。

おしどり贈与(贈与税)
  • 生前の贈与に対する控除
  • 非課税枠:最大2,000万円+110万円
  • 婚姻20年以上が要件
  • 登録免許税:固定資産税評価額の2.0%
  • 不動産取得税が別途かかる(軽減措置あり)
  • 一生に一度のみ適用可
相続税の配偶者控除
  • 相続時に適用される控除
  • 相続税額が1億6,000万円か法定相続分相当額のいずれか多い額まで軽減
  • 婚姻期間の要件なし
  • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%
  • 二次相続への影響に注意が必要

相続税の課税対象にならない程度の財産規模であれば、おしどり贈与を使うことで、登録免許税・不動産取得税などのコストだけが発生し、税負担の総額次第では不利になることがあります。制度を使う前に、相続税の課税見込みと総コストを専門家と一緒に確認することが必須です。

手続きに必要な書類

  • 贈与税の申告書
  • 戸籍謄本(婚姻20年以上であることの証明)
  • 不動産の登記事項証明書
  • 住民票の写し(住み始めた後のもの)
  • 不動産の固定資産評価証明書(登録免許税・不動産取得税の計算に必要)

申告期限は贈与を受けた翌年の3月15日までです。期限を過ぎると控除が適用できなくなりますので、早めに準備を進めましょう。

香椎相続不動産事務所からのアドバイス

おしどり贈与は、要件を満たすご夫婦にとって魅力的な制度です。しかし、贈与税の節税だけに着目して判断すると、不動産取得コスト・将来の譲渡所得税・相続時の特別受益問題など、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

重要なのは、ご自身の財産規模・相続税の課税見込み・将来の不動産売却の可能性を総合的に判断したうえで、使うべきかどうかを決めることです。

香椎相続不動産事務所では、相続専門の提携税理士のご紹介も可能です。相続税は、関与する税理士によって結果が変わる税金です。おしどり贈与の活用を含む生前対策について、福岡市・糟屋郡エリアを中心に丁寧にご相談をお受けしています。

まずは無料相談からお気軽にどうぞ

香椎相続不動産事務所では初回相談無料でご対応しています。
福岡市東区香椎2丁目8-4|相続コンサルティング・遺言書作成・相続不動産活用

TEL: 092-202-2300

またはお問い合わせフォームからご連絡ください

本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。法律・税制は改正される場合があります。登録免許税・不動産取得税・譲渡所得税などの税率・計算方法は個別の状況や軽減措置の適用により異なります。記事内の情報はあくまで参考としてお読みいただき、具体的なご判断の際は必ず専門家へのご相談またはご自身での最新情報のご確認をお願いいたします。

\ 最新情報をチェック /

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール
PAGE TOP