親が認知症になる前に検討したい「家族信託」の全手順。成年後見制度との違いをプロが解説

家族信託と成年後見制度の違いを比較・認知症前の財産管理対策と手続きのイメージ・福岡の相続対策

親が認知症になる前に検討したい
「家族信託」の全手順
成年後見制度との違いをプロが解説
― 「そろそろ考えようかな」のタイミングが、実は最後のチャンスかもしれない ―

「親が認知症になったら財産はどうなるのか」と不安を感じ始めたとき、多くの方が「家族信託」か「成年後見制度」という言葉にたどり着きます。しかし実務の現場でよく見るのは、「家族信託を検討しようとしたが、すでに判断能力が低下していて使えなかった」というケースです。家族信託は、親が判断能力を持っている元気なうちにしか契約できません。この記事では、家族信託と成年後見制度の構造的な違いと、今の段階で何を考えるべきかを整理します。

この記事を読むと得られること(FAQ)

Q. 家族信託と成年後見制度はどう違いますか?
A. 家族信託は「財産の管理・運用・処分」を信頼できる家族に任せる契約で、不動産売却・資産運用・相続先の事前指定が柔軟にできます。一方、成年後見制度は「本人の保護」を目的とした公的制度で、施設入所・介護契約など身上監護ができますが、資産の積極的な運用や相続税対策は原則できません。最大の違いは、家族信託は「判断能力がある元気なうち」にしか契約できない点です。
Q. 家族信託と成年後見制度の費用はどのくらいかかりますか?
A. 家族信託の初期費用は財産規模によって異なりますが、一般的に数十万円〜100万円程度が目安とされています。受託者を家族にする場合は、原則としてランニングコストはかかりません。成年後見制度の申立費用は数万円程度が目安ですが、専門家が後見人に選任された場合は月額2〜6万円程度の報酬が本人が亡くなるまで発生し続けます。長期化するほど成年後見のトータルコストが高くなる傾向があります。
Q. 家族信託はいつまでに契約する必要がありますか?
A. 家族信託は「判断能力がある元気なうち」にしか契約できません。認知症が進み法的判断能力を失った後は家族信託という選択肢はなくなります。「そろそろ心配だな」と感じた段階では、すでに手遅れになっているケースもあります。親が70代に入ったタイミング、または軽度の物忘れが出始めた段階で検討を始めることが、実務上の重要なポイントです。

「家族信託と成年後見、どちらがよいか」という問いの前に

「家族信託か成年後見か、どちらが得ですか?」という問いへの答えは、どちらか一方に決まりません。2つの制度は、そもそも目的が異なるからです。

家族信託は「財産管理の設計ツール」です。誰に何を任せ、どう運用・処分し、最終的に誰に承継するかを、本人が元気なうちに自由に設計できます。成年後見制度は「本人保護のセーフティネット」です。判断能力を失った本人が不利益を被らないよう、国の仕組みとして後見人が守ります。

どちらが有利かという比較より前に、「今の親の状態で、どちらの制度がまだ使えるのか」を確認することが先決です。家族信託は、親の判断能力が失われた後では選べません。

家族信託と成年後見制度:構造の違いを表で整理する

比較項目 家族信託 成年後見制度
(法定後見)
目的 財産管理・資産承継・認知症対策 本人の財産保護・生活支援
開始時期 判断能力がある元気なうち(必須) 判断能力が低下・喪失した後
不動産売却・運用 契約内容の範囲で可能 原則困難(居住用不動産は家裁許可が必要)
身上監護
(施設入所・介護契約等)
できない できる
相続税対策・資産承継設計 可能(次世代・次々世代まで指定可) できない
裁判所の関与 なし(家族間で設計・公正証書で締結) あり(家庭裁判所が後見人を選任・監督)
初期費用(目安) 数十万〜100万円程度(財産規模による) 申立費用数万円程度
ランニングコスト 受託者が家族の場合は原則ゼロ 月額2〜6万円程度(専門家が後見人の場合)

最も重要な制約:家族信託は、認知症が進んで判断能力を失った後では契約できません。成年後見制度に移行してしまった段階では、家族信託という選択肢は閉じます。「念のため検討しておこう」という余裕があるうちに動くことが、家族信託を活用できるかどうかの分かれ目です。

家族信託が有効なケース・成年後見が必要なケース

家族信託が向くケース

不動産を持っていて、認知症後も売却・賃貸・建て替えなどを柔軟に行いたい場合は、家族信託が有効です。成年後見制度では居住用不動産の売却に家庭裁判所の許可が必要となり、実務上のハードルが高くなります。

また、「自宅は妻に、妻が亡くなった後は長男に」という二次相続・三次相続まで承継先を指定したい場合も、家族信託が適しています。これは遺言書でもできない設計です。相続税対策としての生前贈与や資産移転も、家族信託の枠組みの中で組み合わせやすくなります。

成年後見が必要になるケース

すでに認知症が進行して判断能力を失っている場合は、法定後見制度しか選択肢がありません。また、施設入所の契約・介護サービスの手続きなど「身上監護」が必要な場面では、成年後見制度の方が権限が広く対応できます。

家族間に不仲・紛争リスクがある場合、裁判所が監督する成年後見制度の方が客観性・公正性を確保しやすいという面もあります。

両制度の併用も選択肢の一つ

家族信託で財産管理を設計しつつ、身上監護が必要になった段階で成年後見制度(任意後見)を組み合わせるアプローチも実務上取られることがあります。どの組み合わせが最適かは個別の状況によって異なるため、司法書士・弁護士等の専門家との検討が不可欠です。

成年後見制度の詳細・申立手続きについては裁判所の成年後見制度に関する案内で確認できます。申立先は親の住所地を管轄する家庭裁判所です。

今、何を確認すべきか:判断のフレームワーク

まず確認すること①:今の親の判断能力
公正証書で家族信託を締結するには、公証人が「判断能力がある」と判断できる状態である必要があります。軽度の物忘れが出始めた段階でも公証人の判断次第で難しくなることがあります。「そろそろ」という感覚があれば、今すぐ検討を始めることが重要です。
まず確認すること②:財産の構成
不動産が主な財産の場合、認知症後に売却・賃貸・管理ができなくなることが最大のリスクです。預貯金のみで不動産がない場合と、不動産が複数ある場合では、家族信託の優先度が大きく変わります。
まず確認すること③:誰が受託者になれるか
家族信託では「受託者(財産管理を担う人)」を誰にするかが重要です。信頼できる家族がいて、財産管理の実務を担える人材がいれば、家族信託のメリットを最大化できます。受託者候補がいない場合は、別の選択肢を検討することになります。
まず確認すること④:身上監護のニーズ
施設入所や医療契約などの「身上監護」が将来的に重要になる場合、家族信託だけでは対応できません。家族信託と任意後見を組み合わせるか、成年後見制度に備えた設計が必要になります。

福岡市東区・香椎エリアでも、「親の判断能力が低下してから相談に来たが、家族信託はすでに難しい状況だった」というご相談が増えています。家族信託は相続対策・認知症対策の強力なツールですが、使える条件が限られています。香椎相続不動産事務所では、相続コンサルティングの一環として、家族信託・成年後見・遺言書の組み合わせを含めたご家族の状況に合わせた設計をサポートしています。

まずはお問い合わせ・無料相談から現状の確認を始めてみてください。

まずは無料相談からお気軽にどうぞ

香椎相続不動産事務所では初回相談無料でご対応しています。
家族信託・成年後見制度の選び方・組み合わせ・遺言書作成まで一体的にご支援します。
福岡市東区香椎2丁目8-4|相続コンサルティング・遺言書作成・相続不動産活用

TEL: 092-202-2300

またはお問い合わせフォームからご連絡ください

本記事は2026年4月時点の情報をもとに作成しています。家族信託の費用は財産規模・信託内容・依頼する専門家によって大きく異なります。成年後見制度の後見人報酬は家庭裁判所が決定するものであり、記事内の月額2〜6万円程度は目安です。家族信託・成年後見制度・任意後見制度の選択は個別の財産状況・家族構成・本人の状態によって異なります。身上監護権の有無・信託財産の範囲・受託者の権限等の詳細は個別の契約内容・法律によって定まります。法律・制度は改正される場合があります。記事内の情報はあくまで参考としてお読みいただき、具体的なご判断の際は必ず司法書士・弁護士等の専門家へのご相談をお願いいたします。

\ 最新情報をチェック /

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール
Back to top