被相続人が契約していた貸金庫を相続人が開ける方法について

被相続人が契約していた貸金庫を相続人が開ける方法について

 被相続人が貸金庫を契約していた場合、貸金庫に入っている財産はもちろん相続の対象になります。貸金庫には、自宅の登記済証(権利証)や遺言書など相続に必要な書類が入っている可能性もあります。

 遺産分割協議の際には、貸金庫を開けて中身を確認しなければなりませんが、契約者(被相続人)以外の人が依頼しても、相続人であっても簡単には開けてくれません。

 まず、貸金庫を開けることができる人は、原則として契約者本人(被相続人)に限られます。したがって、貸金庫の契約者が亡くなれば、貸金庫をすぐに開けることは非常に困難になります。そして、この一時的に開けることが不可能になった貸金庫を開けるには一般的に以下のような手続きが必要になります。

1.相続人全員の同意が必要

 貸金庫の契約者(被相続人)が亡くなった場合、中に入っている財産も相続の対象となり、誰がどの遺産を受け取るか(遺産分割)が確定するまでは相続人全員が共有している状態になります。

 相続人の一人が単独で貸金庫を開けると、その人が中身を抜き取って財産を着服する可能性がないとは限りません。銀行は立場上、一部の相続人にだけ貸金庫の開閉を許すと他の相続人から責任を追及される恐れがあります。そのため銀行など貸金庫の持ち主は、契約者の死亡を知った時点で貸金庫の開閉を一時的に停止します。

 契約者(被相続人)の死亡で開閉が停止された貸金庫は、相続人全員の同意がなければ開けることができません。通常であればあらかじめ登録された代理人が開閉できる場合もありますが、開閉が停止されると代理人でも開けることができません。

 貸金庫を開けられなければ中に何が入っているのか分からないため、遺産分割を進めることもできません。相続人全員の同意を取り付けて早めに貸金庫を開ける手続きをしなければなりませんが、相続人どうしでもめている場合は同意を取り付けることも困難になります。

2.相続人が貸金庫を開けるための手続き

 相続人が貸金庫を開けるための手続きは、おおむね預金の相続手続きと同じです。具体的には、次のようなものを用意して銀行に届け出ます。

  • 契約者(被相続人)の出生から死亡まで連続した戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 貸金庫の鍵または貸金庫カード
  • 遺産分割協議書または相続人全員が同意した旨の書面

手続きの詳細については、貸金庫がある銀行に確認してください。

 法務局の証明がある法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明) があると、手続きはスムーズに進むと思われますが、これも貸金庫のある銀行に確認することを強くお勧めいたします。

過去のFC2ブログ:法定相続情報証明制度について
法務局HP:法定相続情報証明制度の具体的な手続について
日本司法書士会連合会HP:新しい相続手続き「法定相続情報証明制度について」


 その他、遺言執行者を定めることにより、遺言執行者が貸金庫を開けることが可能になる方法などもありますが、今回は当事務所が大変お世話になっている、福岡銀行さんに上記の内容を問い合わせをしたところ、以下の回答を頂きました。

「内容等により、それぞれ必要な書類や対応が変わりますので、支店貸金庫のある支店等に直接お問合せして頂くのが間違いないと思います。」

福岡銀行HP:貸金庫

 やはり対応をマニュアル化するのが難しいのかも知れませんが、この確認や準備を生前にしておくかおかないかで、相続人の負担も大きく変わるのではないかと思います。

ご不明な点等ございましたら、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。


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