相続税の計算と相続問題でそれ以上に具体的で大事な話

相続税の計算と相続問題でそれ以上に具体的で大事な話

福岡の相続家族信託のコンサルタント香椎相続不動産事務所です。今日はたまにお客様よりお尋ねされる、相続税の計算方法について記します。が、私は税理士ではございませんので、一般的なお話にとどめたいと思います。そして、相続コンサルタントとして、相続についてもっと大事な事を記しますので、是非ご覧いただき、しっかりと今後の相続対策についてご検討頂けたらと思います。相続税の計算方法に関する部分は、平成 31年4月1日現在の法令によります。

相続税の計算方法と相続問題でそれ以上に具体的で大事な話

相続税の計算方法について

1.相続税のかからない範囲(基礎控除)

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例:法定相続人が妻と子ども2人の場合の基礎控除額

3,000万円+600万円×3人(法定相続人の数)=4,800万円

このほかに生命保険金や死亡退職金の非課税限度額は、それぞれ500万円×法定相続人の数の分だけあったりもします。すなわちそのような基礎控除や非課税限度額などがあった上で、正味の遺産額が基礎控除の額を上回ると、相続税が発生することになります。

2.相続税額の計算の仕方

①正味の遺産額

土地・建物などの不動産や、預金などの財産から借入金や未払金などの債務を引いたものが、正味の遺産額となり、生命保険金や死亡退職金は、上述のそれぞれの非課税限度額(500万円×法定相続人)の額を上回ると、それも正味の遺産額に加算されます。

例)

相続の遺産金額

特例の適用例

※特例の適用には、対象の土地や取得者の要件が細かく定められているので、詳細は税務署へご確認ください。

②課税遺産総額(上記例の場合)

正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。

14,800万円(正味の遺産額)-4,800万円(基礎控除額:3,000万円+600万円×3人)=1億円

③相続税の総額の計算

課税遺産総額を、一旦法定相続分で分割したものと想定して相続税の総額を計算します。

妻:10,000万円×1/2=5,000万円
長男:10,000万円×1/2×1/2=2,500万円
長女:10,000万円×1/2×1/2=2,500万円

各人相続財産額

相続税の速算表で計算すると下記の通りになります。

 妻:5,000万円×20%(税率)-200万(控除額)=800万円
長男:2,500万円×15%(税率)-50万円(控除額)=325万円
長女: 2,500万円×15%(税率)-50万円(控除額)=325万円

相続税総額

④各人納税額の計算

上記③の相続税の総額をもとに、実際の相続割合によりそれぞれの相続税額を計算します。

実際の相続割合が、妻50%、長男30%、長女20%の場合、相続税の総額は1,450万円と変わらないですが、それぞれの負担する相続税額は変わります。

それぞれの相続税額

 妻:1,450万円(総額)×50%=725万円
長男:1,450万円(総額)×30%=435万円
長女:1,450万円(総額)×20%=290万円

実際の相続税納税額

※配偶者の取得した遺産額に対する税額については、法定相続分もしくは、16,000万円までのいずれか多い金額に対応する額までの税額控除があるため、上記の場合、妻の相続税額は725万円の税額軽減が発生します。

相続税の計算方法よりも大事なもの

上記に相続税額の計算方法を記しましたが、改めて相続税の課税割合について記しますと、平成27年1月より基礎控除が引き下げられました。それでも全体の約8%と言われており、実をいうと上記の相続税の計算などの情報が必要となる人はまだまだ限られた人達のお話です。

もちろん、相続税が課税される方は、それぞれに生前贈与や対策が必要ですが、相続コンサルタントの立場から申し上げると、それより大事なことがあります。

相続税が課税されない人の方が相続で揉める可能性が高い

相続の遺産分割協議で調停になる財産額

上記の通り、遺産分割金額の金額別訴訟割合は、相続資産5,000万円以下の方がトラブルになる割合が高いのです。先ほどの相続税の例であげた法定相続人3人の基礎控除は4,800万円でした、実は基礎控除内で収まる方が、ある日突然の相続発生時に家族間の問題になる可能性があるのです。

その相続に相続人の思いはあるのか?

もちろん相続税など納税せずに済むのであれば、それが一番だと思いますが、それ以上に大事なのは、やはり財産を残す人が、残される家族達に対する思いだと私は思います。誰にどの財産をどのように残したい、そしてその思いに至った理由が残された人達へ遺言や付言事項として伝わり、そして残された人達もその思いを財産と一緒に受け取る。その結果として、相続税がかかってもそれは致し方ないことではないでしょうか?

思いを込めた相続がないと、やはり節税などのテクニックはやはり小手先のテクニックとなり、折角の相続がトラブルの元になる可能性があるのでご注意ください。

福岡の相続や家族信託について、お困りごとがあれば、福岡の香椎相続不動産事務所へお気軽にお問合せください。


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