【平尾昌晃さん遺産争い】後妻を攻撃する三男・勇気に「3つの不可解な点」

【平尾昌晃さん遺産争い】後妻を攻撃する三男・勇気に「3つの不可解な点」

ビジネスジャーナル  2018.09.26

 昨年7月に亡くなった作曲家の平尾昌晃さんの遺産相続をめぐる争いが、泥沼化しつつある。

 平尾さんの三男で歌手・DJの勇気さんは25日に記者会見を行い、平尾さんの3人目の妻・Aさんが昨年10月に平尾さんの音楽出版権管理会社「エフビーアイプランニング(以下、F社)」とマネジメント会社「平尾昌晃音楽事務所」の社長に就任したが、この就任経緯に不正があったとして東京地裁に「取締役の職務執行停止」などの申し立てを行ったと説明した。F社については、21日に地裁が申し立てを受理したという。

 勇気さんの実母は平尾さんの2人目の妻だが、25日発売の「週刊女性」(主婦と生活社)のインタビューで、勇気さんは以下を主張している。

・Aさんは、平尾さんの会社から7,000万円を横領した取締役を刑事告発しないばかりか、この取締役を平尾さんの一周忌に参列させた。

・F社は、平尾昌晃音楽事務所の株の大半を所有していたが、Aさんと平尾さんが結婚した5年ほど前、音楽事務所はF社所有の音楽事務所株をすべて850万円で買い、自社株とした。しかし、音楽事務所が所有する不動産だけで市場価値は8億円に上り、平尾さんの3人の子供が将来過半数の株を持つことになるF社による音楽事務所への支配を排除するため、Aさんが主導した。

・平尾さんの印税や著作権を管理するJASRACの相続同意書について、Aさんは勇気さんらに対し、複数人が受け取れる「共同用」は提示せず、Aさんのみが受け取れる「単独用」のみを提示し、継承者の欄は空白のまま勇気らにハンコを押させた。

・F社は昨年、株主総会を開いてAさんを代表に選任したが、株主である勇気さんに招集通知を出さなかった。

 もし仮に勇気さんの主張が事実であるならば、Aさんの行為は法的に問題があるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は次のように解説する。

山岸弁護士の解説コメント
 私の14年の職務経験のなかでは、「後妻」と「前妻の子供たち」という構図は、“資産家の夫(父)”の相続において最も揉める、まさに“争続”の典型的なパターンです。

 なぜなら、もし「後妻」に自分の子供がいなければ、夫と死別した後は誰にも頼れず、少しでも遺産を獲得したいという思いがありますし、「前妻の子供たち」には、血のつながりがない継母であり、特に後年の再婚であれば「遺産目当て」にしか見えないケースが多いからです。

 ところで、今回のニュースを見て、通常の「後妻」と「前妻の子供たち」という構図から発生すると想定される紛争の構図からすると、だいぶ違和感がありますので、まずはそこを指摘したいと思います。

【違和感1】

 勇気さんは「5年ほど前に戸籍謄本を取ったら、父とAさんが結婚していたことがわかった。彼女に電話したら言うタイミングがなくてと話すだけ」(前出「週刊女性」より)とのことですが、

(1)勇気さんが父親が記載された戸籍を取得する理由が不可解です。勇気さんはご結婚されているとのことですので、父親の戸籍から新しい戸籍が作成されています。すでに分かれている父親の戸籍を取得する理由がわかりません。

(2)実の父親ではなくて、なぜ、わざわざAさんに結婚の事実を確認するのか、その行動が不可解です。「後妻」になった女性がわざわざ「前妻の子供たち」に結婚を告げるとは限らず、父親に聞けば足りる話です。

【違和感2】
「三男が怒りの告発」とのことですが、平尾さんには、最初の妻との間に1人の息子、次の妻との間に2人の息子(勇気さんと他1人)がおります。この構図も、長男と次男・三男(=勇気さん)コンビの仲が悪くなることが多いパターンですが、次男と勇気さんが足並みをそろえているのかどうか不可解です(次男は26日、報道陣の取材に対し「兄弟一枚岩ではない」と発言)。果たして「法的手続」に次男が当事者として参加しているかどうか、参加していないならさらに不可解です。

【違和感3】

「平尾昌晃音楽事務所を支配することを目的とする不信な株主構成の変化があったことを、ことさら強調している」点ですが、平尾さんが保有していたF社、音楽事務所の株式自体が法定相続分にしたがって相続されているのであれば、生前の株主構成の変化は相続人には関係ありません。生前贈与の話でもなく、相続で揉める話題ではありません。

「『将来、兄弟が株式の過半数を保有することになるF社』が保有していた音楽事務所の株式」を、音楽事務所がF社から格安で取得したとのことですが、情報が少なくはっきりとしたことはわかりませんが、例えば、事前に会社法が規定する「減資手続」などを経ていれば、たいした問題もないはずです。平尾さんの生前のことであり、勇気さんに無関係の話をとやかくアピールすることに違和感があります。

ということで、私としては、どちらかと言うと、勇気さん側に何か“ひっかかる”ものがあるのですが、これは、勇気さんのお話に“尾ひれ”が付いているからということにしておきます。

 さて、ニュースが真実である場合、以下のように整理できます。

(1)「昨年10月に勇気さんに招集通知を送付せずにF社の株主総会を開催し、Aさんが代表取締役に就任する決議をした」点については、確かに株主総会の招集手続に違反し、違法です。勇気さんも株主である以上、また、F社が発行した株式数のうち、相当の割合の株式を保有しているわけですから、真実、“呼ばれていない”なら、株主総会における決議の取消原因や、無効原因になります(刑事罰はありません)。

(2)「平尾昌晃音楽事務所を支配することを目的とする不信な株主構成の変化」については、前述のとおり、会社法が定める手続きにしたがっているなら、なんの問題もありません。この時点(株主構成の変化)で勇気さんは、なんの関係もない人である以上、「許される」「許されない」を言う立場にありません。

(3)「JASRACの同族同意書」については、なんとも言えません。そもそも、相続なんて、他の相続人に対しては、不信感しかないのが通常です。

 相続“争続”になるのは、「遺産のことを最も知っている人がこの場にいない」ことと、「生前、故人と一緒に住んでいた人と、一緒に住んでいなかった人の情報量(故人の遺産について)に格差がある」からです。

 こういうことを避けるために、生前、資産を築いた「相続に関する賢者」は、(1)しっかりと遺言書を作成するか、(2)財団などを設立し資産を継続させます。(2)の詳細については、詳しい弁護士さんにご相談ください。
(文=編集部、協力=山岸純/ 弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士)

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2018/09/post_24910_2.html
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この話はまだ結論が出ていないようですが、被相続人に何が出来たのか、相続について色々と考えさせられる話です。一つ言えるのは、平尾勇気さんも3番目の奥様も、面倒な話を残して亡くなられた、平尾昌晃さんへ後味の悪い思いを残されてるのではないかとお察しします。

遺産額の大小に関わらず揉める可能性のある相続問題。決して他人事とは思わず何が出来るのか、しっかりと考えてみたいものです。

相続に関して何かお困りのことがあれば、福岡市東区の香椎相続不動産事務所へお気軽にご相談ください。


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